DIY賃貸とは?オーナー視点で見るメリットとリスク、実践方法や管理方法について

目次

はじめに:DIY賃貸とは何か?

DIY賃貸とは、入居者が賃貸物件の内装や設備の一部を自由に変更・改装できる賃貸契約のことを指します。通常の賃貸物件では、内装の変更が制限されることが一般的ですが、DIY賃貸では一定のルール内で自由な改装が許可されます。
また、貸主が修繕やメンテナンスを行わず現状の部屋の状態で賃貸する事が多い為、本来であれば貸主が負担すべき修繕費等の経費を、入居者の意向を反映した改修を許諾することで入居者に負担してもらうことができます。
DIY賃貸は、修繕不足による空室リスクを低下させる対策として活用できます。

通常の賃貸との違い

通常の賃貸物件では、原状回復義務が重視され、内装や設備を変更することは基本的に禁止されています。一方、DIY賃貸では、入居者が自分の好みに合わせてカスタマイズできる自由度が高いのが特徴です。

増加するDIY賃貸需要とその背景

近年、個性やライフスタイルを重視する入居者が増加しております。また、SNSやメディアでもDIYの情報に触れる機会が増え「賃貸住宅でも自分好みの内装デザインにしてみたい」という方が増えた事により、DIY賃貸の需要が高まっています。
古い物件でも自分で手を入れて快適にしたいというニーズは、ますます高まってくるでしょう。

私たちが開催したDIYイベントの様子

DIY賃貸の魅力とメリット

入居者にとっての魅力

①自由度と個性の実現
DIY賃貸は、部屋を自分好みにデザインしたいという入居者の願いを叶えます。自由に内装を変更できることで、生活の質や満足度が向上します。

②賃料を抑えることができる
改修が必要な分、相場賃料より安くなっている物件に住むことができます。

貸主にとってのメリット

①高い入居性の確保
DIY賃貸は競争が激しい賃貸市場で目立つ存在となり、より多くの入居者の関心を引き付けることができます。

②他物件との差別化
他の賃貸物件との差別化を図ることで、競合を避けやすく地域内での競争優位性を確保できます。
比較的供給が少ないので、都心部以外の郊外や田舎などでも場所を問わず様々な需要が期待できます。

③長期的な賃料収入の安定化
DIY賃貸では、入居者が物件に愛着を持つのですぐに引っ越してしまう可能性が低く、長期的な入居につながりやすくなります。
その為、安定した賃料収入が期待できる上に、空室対策や入居者募集の手間も省く事ができます。

④リフォーム費用を抑える事ができる
一般的な賃貸住宅は床や壁等の状態が悪ければ、修繕やリフォームが必要になりますが、DIY賃貸の場合、入居者が好きに変更する事が前提なので、そのままの状態で貸し出す事も可能です。その為、リフォーム・修繕費用を抑えて賃貸経営を開始する事ができます。

DIY賃貸のデメリット

貸主のデメリット

入居者に改修を求める分、募集賃料を相場よりも下げる必要があります。
また、改修工事の内容や退去時の原状回復ルール等、細かな取り決めや確認を事前に行っておかなければトラブルに繋がる可能性があります。その為自分で管理する場合は手続きが煩雑になります。

入居者のデメリット

思うとおりに直せなかったり、想定以上に手を入れる必要が出る場合があります。
また、やりたい内容によっては材料費等で費用が膨大になる可能性もあります。

DIY賃貸を運営する際の注意点

①トラブルを防ぐためのルール設定
事前に改装可能な範囲を細かく取り決めることで、貸主と入居者の双方が安心して契約を結べます。

②メンテナンスや修理の対応について
貸主が対応すべき修理範囲を明確にしておくことが重要です。

③入居者との信頼関係の構築
定期的なコミュニケーションを通じて、良好な関係を築くことがトラブル回避につながります。

DIY賃貸として貸し出すための準備

物件状況の確認、管理業者の選定

DIY賃貸に適した物件は、一定の自由度を持たせつつ、耐久性やメンテナンス性が考慮されたものが理想的です。
例えば、塗り直しや貼り替えが簡単な素材を採用することで、入居者が気軽に改装できる環境を整えると喜ばれます。
とはいえ現況での引き渡しで条件を設定して募集することもできなくはありません。

管理方法は管理業者への委託が多いですが、建物の所有者による自主管理や、借上げ業者に一括して貸し出すケースもあります。

自主管理基本的に建物の所有者が物件の管理を全て行います
管理委託一部の管理業務を管理業者に委託します
一括転貸建物の所有者は借上げ業者に物件を賃貸し、借上げ業者が借主に転貸する方式です。借上げ業者
が物件の管理を全て行います。

  一括借上げ物件におけるDIY型賃貸借の事例

画像引用元:国土交通省 家主向けDIY型賃貸借実務の手引き

Point
・現況の耐震性や建物劣化状況の把握
・DIY賃貸をふまえた管理業者選定
・貸主の工事範囲や家賃設定

賃貸契約にDIY規約を盛り込む

①許可する範囲の明確化:改装可能な箇所や方法を具体的に規定します。
②原状回復義務の取り決め:退去時の原状回復条件を明確にしておくことで、未然にトラブルを防ぎます。

国土交通省が、個人住宅の賃貸流通の促進に向けて、DIY型賃貸借に関する契約書式例とガイドブックを公表しています。

画像引用元:国土交通省 DIY型賃貸借のすすめ

取り決め事項のポイント

所有権:工事部分に関する所有権がオーナー様と入居者のどちらに帰属するか
明渡し時の収去と原状回復:工事部分について、明け渡し時に残置するのか撤去するのか
清算:.費用の精算の有無の取決め
施工:DIY工事の際に住宅本体や第三者に損害を与えた場合の責任の所在
修理・修繕:入居期間中の管理・修繕を誰が行うか

DIY賃貸の成功事例

成功事例①「アパートキタノ」

東京都八王子市にある「アパートキタノ」は、駅から少し離れた場所にあるワンルームマンションです。
賃料を下げる以外の方法で集客を考えた結果、DIY賃貸として貸し出す事にしたとの事。
DIY賃貸として貸し出す上でよくオーナー様から耳にする「どんな改装をされるのか分からない」という不安を、部屋の合板を貼った床と壁の1面だけ自由に改装可とした事で、不安や原状回復の負担も再上限に抑える事ができました。
また、入居者のコミュニティやSNS発信等で新たな入居者が決まるという好循環が起きています。

成功事例②「Neriba(ネリバ)」

私たちが運営管理する、東京都練馬区にある「Neriba」は、4階にコワーキングがあり昼はカフェ、夜は週替わり店長バーのスペースに、隣は多様性あるイベントスペース。5階にリモート・パラレルワーカーを支援するシェアハウスを備えた複合空間です。

シェアハウスのお部屋はDIY可能としており、入居者のニーズに合わせてDIYサポートをしております。初心者の方でも気軽にDIYに挑戦することができます。
お部屋を自分の好みにカスタマイズする事ができ、入居者様にも気に入っていただいております。

さいごに

貸主の費用負担を抑えながら物件の価値を高めつつ、入居者の満足度を向上させるDIY賃貸は、これからの賃貸経営の一つの形になりつつあります。長期空室化してしまっているお部屋や今後の修繕費用や空室不安を解消する一案として、ぜひDIY賃貸を検討してみてはいかがでしょうか。
適切に運営すれば、物件の魅力が向上し収益性も高まります。
長期的な視点で、柔軟性と沿おう造成を取り入れた賃貸経営を目指しましょう。

わたしたちは物件の状態やご要望に合わせて自主管理における入居者募集のお手伝い、管理委託や一括借上させていただく等、柔軟なご提案が可能です。ご興味を持たれた方は、ぜひ一度ご相談ください。物件の価値を最大限に引き出すお手伝いをさせていただきます。

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